奥津城まで

所謂日記だ。ブログには何度もトライしては挫折してきた。出来ることなら長く続けたいと思い、上のようなブログ名にした所存。

書くことへのリハビリ

 そろそろ暦の上では春ですが、寒さが一入です。

 今回は、柄にもなくナイーヴな雰囲気の文章ですが、比喩的に云えば初詣に行って個人的なお祈りをするみたいな内容なので、まあ、ほんの私小説風随筆(?)みたいなものとしてお読み頂ければと思います。

 

 本当は本を読んでいるばかりでは駄目なと思う。現実のところ、年が明けてこっち、読書を始めとして、大したインプットをしていない。それは焦りを感じさせる。筋肉トレイニングが日課になっている者が、もう何日もそれを行なっていない時に感じるであろう焦りだ。  

 それと同時に、ここ数日、否数箇月は纏まった文章を何も書いていない。インプットをしていないからアウトプットが出来ないのか、それとも書けない/書かない理由若しくは原因が他にあるのか……。  

 無論、それは怠惰の産物、結局は気分と云う曖昧な感情に由来するものなのだろう。そこにどう尤もらしい理屈を付けたところで、それ自体は全く創造的な行為とは云えない。    

 

 柄にもなく、随分と感傷的なことを書いた。こうした文章は、実のところ生の素材をそのまま並べるだけで、何の加工もパッケージングもしていない藝のないものだと個人的には否定的なのだが、一度吐き出してみるのも、リハビリへの一歩だ。結局自由に書ける(無論、公序良俗を最低限守ってのことだが)チラシの裏程度の場所なのだから、うっかり見てしまった方には申し訳ないが、偶にはこうした愚痴とも弱音ともつかない心情も吐露してみたい。カタログ的に本を紹介するのも、嫌いではないのだけれどさ。  

 

 随分前に、

星霊竜嘶く汀にて(@moriatyj) - カクヨム

でアカウントを取得し、ファンタジーを投稿した。知人に読んでもらうために書いたのだが、結局数話投稿してそのまま放置状態である。非常に恥ずべきことだ。これもスプリング・ボードというか、助走装置となるよう、近日投稿再開予定。一話くらいはそろそろ投稿出来そう。それは個人的な希望でしかないのだが……。    

 ドストエフスキーをまた読み返している。最近Twitterで知ったドストエフスキー同人誌を刊行されている方が寄稿している「しししし」vol.2を購入、一読した。その筆者であるmerongreeさんの「他者と会話するよりも、ドストエフスキーを読む方が楽だった」趣旨の文冒頭は、何となく共感するところが大である。それもあって、ドストエフスキー、またはバフチンドストエフスキー詩学』の再読中だ。どれも昔持っていたが、引っ越す際に売却してしまったかも知れない。一月の頭にまた書い直し、徒然に読んでいる。それに今後何らかの効果があるのかは不明だ。また、効果を求めること自体にも疑問だったりする。面白いのだからいいのだが。  

 

 「何となく」とか最近気分めいた言葉をよく遣う。気分は、自分にとっては余りポジティヴな意味を持っていない言葉だ。そして今もそう云う印象を持つ。そうした自分が、気分めいた言葉を遣うのは、何処かで忸怩たる思いがある一方、もう胆力もなくなり、理屈めいた文章を書くスタミナが乏しくなってしまっているのではないかと「ぼんやり」と自覚、自分に対して予感する。小説にしろ、それ以外の文章にしろ、気分めいたものを遠ざけ、理屈めいた文章を取り戻し、更にブラッシュアップ出来るよう、自分はもう一度、計画的にそして実践的に書くことへの訓練を積まなければならない。  それこそ心に強く秘めておけばいいのだが、宣言することで、実行に繋がる神話めいた言葉の力を、自分はここで信じてみる。

 

ドストエフスキーの詩学 (ちくま学芸文庫)

ドストエフスキーの詩学 (ちくま学芸文庫)

 

 

 

(しししし) 2018 vol.2 特集:ドフトエフスキー

(しししし) 2018 vol.2 特集:ドフトエフスキー

 

 

 

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師走に読んだ本を紹介するよ

 年が明けてしまった。今年はどう云う年になるのだろうか。そろそろ偶有性に対して受動的に期待するばかりでは、自身の情況が余り好転する気配もないので、もっと能動的なこと、アクションが必要なのだろうと遅まきながらに思う。

 

 

 

情報生産者になる (ちくま新書)

情報生産者になる (ちくま新書)

 

 

 

 

 

 

 

  ネット、就中検索ワードを深めるために、リアルに旅をする、詰まり生活にノイズ=誤配を入れる方法を説く、エッセイ風の文章。気軽に読めるが、既に「観光」「観光客」の概念も登場し、『ゲンロン0 観光客の哲学』に接続されるプレテクストの意味合いも持つ。表層をなぞる「観光」的態度でも経験と言語(語彙)を深めることが出来るというプラクティカルな部分が興味深い。
読了日:12月10日 著者:東 浩紀

 

 

三島由紀夫『豊饒の海』VS野間宏『青年の環』―戦後文学と全体小説 (新典社選書 76)

三島由紀夫『豊饒の海』VS野間宏『青年の環』―戦後文学と全体小説 (新典社選書 76)

 

 

 

  テンホウとハルピンは知らんかった。でも秋映、シナノゴールド、シナノスイートは知っとった。
読了日:12月14日 著者:鳴見 なる

 

 

6代目 日ペンの美子ちゃん

6代目 日ペンの美子ちゃん

 

  時事ネタが凄い。あと昇大先生の趣味も時々溢れる。日ペンの宣伝であることを忘れてしまいがちな、二度目の東京五輪を迎える永遠の17歳の大活躍。
読了日:12月14日 著者:服部 昇大

 

 

かっぱのねね子 こうの史代小品集

かっぱのねね子 こうの史代小品集

 

  ねね子のゲス顔が余りに衝撃だった。三平と同じくかっぱは総じて怠けモノなのか。モノクロの一枚絵も良い。
読了日:12月15日 著者:こうの史代

 

 

ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2 (講談社現代新書)

ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2 (講談社現代新書)

 

 

 

 

 

 

 

 

読書メーター
 このブログも同じスタイルのコピペで、筆者自身の成長も、ブログの洗練さも全くない。そのことが常に反省点ではある。卑下してこういうのは若干憚られるが、これはチラシの裏とまァ同等に如くので、好きなように、ということはもっと工夫して色々なスタイル、内容で書いていけるよう努力してゆきたい。  皆様におかれましても、本年が健康で、知的刺激に満ちた良い年になりますようご祈念申し上げます。

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霜月に読んだ本を紹介するよ

 既に師走も半分だ。何んだかんだあったり、そして特に何もなかったりするが、何時もの本の紹介でお茶を濁したい。少しでも興味があれば幸いである。

 

11月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:5412
ナイス数:10

 

  公式カットを用いて変身後のコスチュームについて解説を加えた一冊。ヴィジュアルとしては特段目新しものはないが、総勢55人をカラーで拝めるのは見ているだけで楽しい。メインカットとなっている映画のCGも、ここまで違和感なく完成しているのかと改めて感動する。「プリキュアワークス」や設定画集と較べればやや軽そうだが、気軽に眺める資料 (何の?)として丁度良い一巻。
読了日:11月04日 著者: 

 

 

  読了日:11月04日 著者:藤子 不二雄A

 

 

  読了日:11月04日 著者:藤子 不二雄A

 

 

思想 2018年 11 月号 [雑誌]

思想 2018年 11 月号 [雑誌]

 

  筒井康隆松本清張に加えて、今年の読書テーマの一つは、実はカントだった。網谷壮介による政治哲学方面からのアプローチが契機になったのだが、久し振りに飯田隆の名前等を見て懐かしかった。単なるノスタルジィではなく、現役の諸論は、正直完全に自分の理解が及んでいるとは思われないが、どれも刺激的だ。
読了日:11月14日 著者: 

 

 

文學界 2018年12月号

文學界 2018年12月号

 

  読了日:11月17日 著者: 

 

 

火の鳥9 宇宙・生命編 (角川文庫)

火の鳥9 宇宙・生命編 (角川文庫)

 

  読了日:11月17日 著者:手塚 治虫

 

 

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

 

  読了日:11月20日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ

 

 

  読了日:11月22日 著者:荒木 飛呂彦

 

 

ソード・ワールド2.5 ルールブックII (ドラゴンブック)

ソード・ワールド2.5 ルールブックII (ドラゴンブック)

 

  読了日:11月22日 著者:北沢慶/グループSNE

 

 

電脳コイル アーカイブス

電脳コイル アーカイブス

 

  Amazon prime配信記念。
 読了日:11月22日 著者: 

 

 

カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)

 

  作中作の二重構造、英米黄金期を彷彿とさせるスタイル、そして現代のイギリス出版事情を絡めた本格ミステリ英米では嘗てのような本格ミステリ、クリスティ(作中でもその名は頻出するが)以外は廃れて久しいと云われているが、しかし近年の翻訳ミステリでこのような作風の推理小説/探偵小説が出現することは全く目出度い事である。出版関係者のミステリに対する愛憎渦巻く種々複雑な感情は、一読者として思うところはあるが、しかし手掛かり、伏線、ギミック、トリック、推理が有機的に含まれている本書は、それだけで掛け替えのない一作だ。
読了日:11月24日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ

 

 

  今まで「アニメージュ」に掲載された「Hugっと!プリキュ」の記事を纏めた総集編。B1サイズのポスターも素晴らしい。本編もクライマックスに向けて加速するし、その為の振り返りとして、そして映画の補完として、そして長いプリキュア史の記念、記録として、必携の一冊。
読了日:11月24日 著者: 

読書メーター
 

 

 そろそろ私のMacではOfficeがサポートなさなくなり巧く動作しなくなってきている。昔に買ったScrivener2をこれを機に改めて使ってみようかと思っているが、はてさて巧く使いこなせることやら。  何かしら書いたらお披露目したいので、乞うご期待。後、皆さん良いお年をお迎え下さい。

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神無月に読んだ本を紹介するよ

 霜月も既に中旬だ。皆さん如何お過ごしでしょうか。もうこの惰性でやっているような記事はそろそろどうかと思うが、性懲りもなく今月も続けます。もっと違うこともやってみようよ俺。

 

10月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:1305
ナイス数:5

  

 

見るまえに跳べ (新潮文庫)

見るまえに跳べ (新潮文庫)

 

 読了日:10月29日 著者:大江 健三郎

 

 

 

SFマガジン 2018年 12 月号

SFマガジン 2018年 12 月号

 

 読了日:10月29日 

 

 読了日:10月20日 

 

 

映像研には手を出すな!(3) (ビッグコミックス)

映像研には手を出すな!(3) (ビッグコミックス)

 

 読了日:10月16日 著者:大童 澄瞳

 

映像研には手を出すな!(2) (ビッグコミックス)

映像研には手を出すな!(2) (ビッグコミックス)

 

 読了日:10月16日 著者:大童 澄瞳

 

映像研には手を出すな!(1) (ビッグコミックス)

映像研には手を出すな!(1) (ビッグコミックス)

 

 読了日:10月16日 著者:大童 澄瞳

 

筒井康隆、自作を語る

筒井康隆、自作を語る

 

 読了日:10月07日 著者:筒井 康隆

 

 読了日:10月06日 著者:

読書メーター

今月は読書メーターにも感想やコメントめいたことは書かなかった。特段な理由はなく、ものぐさなだけだ。漫画も読んでいるのに、余り冊数も読めてはいない。こんな反省も既にマンネリズムだ。  残念なことに、利用していたwebサーヴィス・メディアマーカーがサーヴィスを終了してしまった。購入した本は取り敢えずそこに登録して管理していたのに、残念なことだ。引き続き、読書メーター積読本として登録管理してゆこうと思っているが、どうなることか。他者の投稿と混在するTL的なインターフェイスなので、雑多になってしまうのではと危惧している。

 ともあれ、クサクサと日常を送りながら、面白い本を大切に読めるように引き続き悪戦苦闘(?)してゆこうと思う。皆さんも良い本を沢山読み、素晴らしい生活を送って欲しい。

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文月に読んだ本を紹介するよ

 駄目だ駄目だと云いながら、諾々と毎日を過ごしている今日この頃、如何お過ごしでしょうか。今回も読書メーターのまとめでお茶を濁そうと思います。

 

 

9月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:848
ナイス数:15

 

文學界2018年10月号

文學界2018年10月号

 

  巻末漫画を描いている、水木しげるタッチが冴える「ドリヤス工場」って、何処かで聞いた名前だと思ったら、以前作家の山本弘が自身のブログでコミケの注目株と紹介していたのを読んだことがあったから。それにしても、文藝誌久し振りに買ったな。
読了日:09月30日 著者: 

 

 

 

  続『まんが道』第2巻。映画は当時の代表的な娯楽だとは聞いていたが、仕事も乏しく常に金欠を心配している素雄こと満賀はしょっちゅう映画を観に行っている。赤塚の台詞から推測する、ロードショウだと通常の値段で高いが、再公開だと安くなると云うことか。そうした昭和30年代の世相も含めて、過ぎ去りし日を惜しむと共に、時代は変わっても、漫画に懸けた青春と、それだけの情熱を燃やすに値する漫画の素晴らしさは永遠だと改めて感じる自伝。
読了日:09月29日 著者:藤子 不二雄A

 

 

  以前、単行本として発売された時、読もうと思ったが、読む勇気がなかった。石ノ森のお姉さんの話から始まっていたからだ。石ノ森と姉の関係と、その「顛末」について知っていたので、悲しい結末を迎えるであろうことは予想された。今回新版が刊行され、また前編である『まんが道』は熱心に読んでいた為、これを機に購読。巻末に収録された盟友・藤本弘の追悼漫画「さらば、友よ」が、淡々とした雰囲気でありながら、しみじみとした哀惜を誘う。
読了日:09月29日 著者:藤子 不二雄A

 

 

Febri特別号 プリキュア15周年アニバーサリーブック

Febri特別号 プリキュア15周年アニバーサリーブック

 

  電子版も結構良かったが、しかし実物ペイパーはその版の大きさもあって、大変眺め甲斐のある一冊である。永久保存版だ。表紙の印刷、加工からして出版社、印刷社の本気が感じられた。青山充ワークスや、普段アニメ雑誌でも掲載されないタバック顧問や編集のスタッフ・インタビュウ等読み応えも抜群だ。皮肉ではなく、兎角印刷が素晴らしい。画集としても資料としてもファンにとっては一級品だ。一迅社には是非「宮本ワークス」「井野ワークス」と共に、20周年アニヴァーサリーブックを期待したい。嗚呼永遠の友達よ。
読了日:09月22日 著者:Febri編集部・編

 

 

山崎豊子先生の素顔 (文春文庫)

山崎豊子先生の素顔 (文春文庫)

 

  読了日:09月08日 著者:野上 孝子

 

 

中谷友紀子 東映アニメ―ションプリキュアワークス

中谷友紀子 東映アニメ―ションプリキュアワークス

 

  これはすごいよ。カヴァー、表紙の描き下ろしも然ることながら、タナカリオンの変身バンク絵コンテを、完成映像対比させながら観られると云う楽しみ方も出来てしまう。OPレイアウト修正も個人的には見所だ。それにしても、プリキュア一作で「ワークス」が一冊出来てしまうのなら、「宮本ワークス」、「井野ワークス」も実現する日は近い。
読了日:09月08日 著者: 

読書メーター
 秋と云えばプリキュアシーズンである。十月末には映画も公開になるし、それに関連してソフト類が発売にもなる。しかも今年は十五周年で秋としては初めてのオールスターズだ。その感想はまた今度。  いずれにしても、風邪など引かぬよう、気を付けて大いに本を読んで欲しい。

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葉月に読んだ本をまとめるよ

皆さんこんにちは。最早或る種のマンネリを禁じ得ない、月一の読書メーターまとめの時期がやって参りました。折角なのだからもっと色々書かなければと思い、あっと云う間に一箇月が経ってしまうものですね。

 

 

8月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:2784
ナイス数:38

 

 

  日常ドラマに特化してことに定評のある、上北ふたご先生によるコミカライズ。進行の都合でルールーがしれっと仲間になっているのは仕方ないし、アニメ本編に譲るとしても、コマがみんなキラキラしていて素敵。隙間頁のハグカットもいいが、必見はカラーピンナップでのハリハム・ハリーのチアコスだ。
読了日:08月09日 著者:上北 ふたご

 

 

  せがわまさきにより現代に新たに蘇った『魔界転生』が遂に完結。魔人と化した剣豪を続々と斃し、残る転生衆は兵法者にして求道者である新免武蔵一人。不気味に沈黙していた武蔵は、ことここに到りて己が悲願を果たさんと動き出す。そして舞台は巌流島の別名である船島と同じ小島へ——。イメージ、ヴィジュアルはモダンに、しかし原作の本質は外すことなく、「バジリスク甲賀忍法帖」、「Y十M柳生忍法帖」に続き、山風忍法帖は脈々と継承された。残すは当然、「柳生十兵衛死す」しかないではなかろうか。
読了日:08月10日 著者:せがわ まさき

 

 

同時代ゲーム (新潮文庫)

同時代ゲーム (新潮文庫)

 

  今なら読み切れるかも知れない——と云う予感と勢いと共に読了。壊す人とその同行者達による村=国家=小宇宙の創成期から「自由時代」、そして五十日戦争へと到る特異な神話と歴史が、妹への手紙と云う態で長大に記される。メキシコでの書き手の近況を交えた「第一の手紙」を越えた辺りから、神話的、伝承的な事件と人物達が跋扈し始め、それは遂に銀河系宇宙へと向かってゆく気宇壮大な物語。共同体の神話と歴史もさることながら、書き手も属する露五兄弟各々の独特さとその運命が特に面白い。既存のイストワールを転覆するアナーキーな大作。
読了日:08月11日 著者:大江 健三郎

 

 

原民喜 死と愛と孤独の肖像 (岩波新書)
 

  その繊細な文学的感覚と、壮絶な被爆体験で珠玉の短編を遺した原民喜の評伝。死・愛・孤独を各章題として、父への憧憬、先立たれた最愛の妻、「三田文学」、「近代文学」の才能ある同人達との交流と、その内向的で自閉的な性格からの苦労、諸作品への結実を描く。敗戦直後の極貧で体調不良の中、石油箱を机に「夏の花」等を書いたエピソードは、作品集に作者の言葉としても載っているが、しかし改めてそこにその創作の凄絶さと切実さを感じずにはいられない。遠藤との友情、埴谷の弔辞も胸を打つ。
読了日:08月12日 著者:梯 久美子

 

 

岸辺露伴は動かない 2 (ジャンプコミックス)
 

  異能で孤高 (友達が少ない)の漫画家・岸辺露伴狂言回し役を演じる短編集の第二弾。ポジションは「魔少年ビーティー」の麦刈公一と同等である。しかし、巻頭のプロフィールで、友達はその麦刈公一をモデルとした広瀬康一君しかいないと書かれているのは、何だかしみじみとする。本編には未登場なのに康一君の人徳が伝わってくるようだ。二人の公一/康一は真の友情の体現なのだろう。また、山岸由花子が登場するのも良い。
読了日:08月19日 著者:荒木 飛呂彦

 

 

小説帝銀事件 新装版 (角川文庫)

小説帝銀事件 新装版 (角川文庫)

 

  帝銀事件の真相を追うことで、自白に重きを置く旧刑訴法の問題点、それによる冤罪、そして混沌とした敗戦直後の占領時代、被疑者の精神的不安定をどう鑑みるか等、幾つものテーマを内包している佳作。架空の人物が当該事件を回想する形態なので「小説」と冠してあるが、これを機に作者が本格的にノンフィクションへと進み始めたことは有名だ。しかしフィクションであっても、晩年に到るまで現代にも通じる社会的諸問題を清張作品は提示する。それこそが真の「社会派」たる所以だ。一見無味乾燥な事件過程を面白く読ませる清張の筆の巧みさよ。
読了日:08月20日 著者:松本 清張

 

 

美しい星 (新潮文庫)

美しい星 (新潮文庫)

 

  変な小説だな——と云うのが、読中の印象だった。三島作品は幾つか読んでいるが、ここまで奇妙な感じがした覚えは余りない。しかし、火星人(自称)の家父と、白鳥座から来た(自称)万年助教授連中の妄想的なまでに巨視的な対決は、ドストエフスキーを想起させる。創作ノートの冒頭にもロシア作家の名があり、想定されていたようだ。火星人(自称)の家父の受難はキリストのようであり、ラスト・シーンは「未知との遭遇」さえ連想された。目撃してしまったら一頻り忘れることが出来ず、不可思議な感覚に執われるまさに未確認飛行物体のような異作。
読了日:08月23日 著者:三島 由紀夫

 

 

  ガハラさんって、「ひたぎクラブ」のラストは結構普通だったなとの印象を早速白浪公園の待ち合わせから覆してくれる変態コメディ(褒めている)。気になったアニメとの細かい違いを挙げれば、忍ちゃん、メメの前ではもう口利いているんやね。
読了日:08月23日 著者:大暮 維人
 

 

 

  エーコ「私もよく部長から◯◯◯◯と言われておりまして‼︎」 不覚にも描きおろしおまけの最後ちょっとだけ感動したよ。連載再開祈念(誤記ではない)。
読了日:08月25日 著者:服部 昇大

 

 

ほぼ日手帳公式ガイドブック2019

ほぼ日手帳公式ガイドブック2019

 

  読了日:08月30日 著者:ほぼ日刊イトイ新聞

 

 

山崎豊子読本 (新潮文庫 や 5-71)

山崎豊子読本 (新潮文庫 や 5-71)

 

  読了日:08月31日 著者: 

 


 漫画もちょくちょく読むようになって来て、個人的には結講なことだと思っています。今年は永井豪石ノ森章太郎の記念年でもあるらしいですので、往年のものが復刊しており、ついつい目移りしてしまいます。長い作品とかも実は多くが未読な所存。  それでは、皆さんも体調には気を付けて、良い本を沢山読み、有意義な人生を送って下さい。

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七月に読んだ本を紹介するよ

 やっはろー。毎日暑くて大変ですね。と、云う間もなく早一箇月が経ってしまった。先月に読んだ本を紹介して、またもお茶を濁したい。

 

 

7月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2243
ナイス数:27

 

  アタマオカシイ連中が繰り広げる修学旅行回。少女漫画家脳の梅太郎を中心に、みこりんは突っ込み、若と結月は夫々不在中に株を上げ、堀ちゃん先輩の鹿島好きに拍車が掛かり、千代ちゃんははっきり「変態」と呼ばれる。一瞬、都先生が一番常識人に見えてくる錯覚を、俺は抑えきれない。
読了日:07月28日 著者:椿いづみ

 

 

  神林「プロレスファンって、ちょっと面倒臭いイメージあるな」  

 長谷川さん「えっ、SFファンよりもですか!?」  

 神林「!!」

 さり気なく本音をぽろりするスミカちゃんは今日も可愛い。
読了日:07月28日 著者:施川 ユウキ

 

 

水玉の履歴書 (集英社新書)

水玉の履歴書 (集英社新書)

 

  主にインタビューで構成された草間彌生の自伝的随想。一節、一節は短いが、藝術家自身の2012年頃の考えに触れることが出来る他、コラムで草間作品がどうマーケットで評価されていったのかも垣間見えて興味深い。
読了日:07月24日 著者:草間 彌生

 

 

読書の極意と掟 (講談社文庫)

読書の極意と掟 (講談社文庫)

 

  『漂流』の時に一読していた。確か大江が帯のコピィを書いていたと記憶する。筒井の当時の状況と共に紹介されていて、本を通した筒井自身のバイオグラフィーのようにも読める。戦後日本SFの黎明期、小松や星との交流等が興味深い。読書は人を作るに如く一冊。親兄弟巻き込み、ボーナス注ぎ込んで「NULL」を発刊した話は有名だが、結構好きだ。
読了日:07月22日 著者:筒井 康隆

 

 

  『聖書』、『福音主義神学概説』、田辺元、『人間への途上にある福音』等の当該節を読み、それを解説していく講義スタイルの著作。著者が各方面にて論じて来た主題を神学を中心に行ったもので、最近の筆者の考え方とテーマへの入門としては適当である。歴史は繰り返すの通り、イエス・キリストによる〈革命〉は、〈申命記革命〉の構造反復である等、キリスト神学的な知識と、それによる歴史、また人間個人の見方への参考になる。普遍的なものを扱う学こそが、神学の特徴だと思わせる一冊。
読了日:07月21日 著者:佐藤 優

 

 

安倍三代

安倍三代

 

  安倍三代とその時代と同時に、政治における世襲につてがテーマとなる人物ルポ。晋三が語らざる父系を地元山口、永田町等の関係者を丹念に追う。重病に罹りながら故郷の村長、そして翼賛体制化で非推薦として当選した祖父・寛。父の後継でありながらも自力で地盤開拓をしていったバランス感覚に優れた晋太郎。そして首相の座にまで上り詰め長期政権を実現した晋三。地元は寛、晋太郎の支援として大変厚く、晋三へは口を濁す。晋三の成蹊時代の恩師の批判が痛烈で涙さえ誘う。名誉、野心、志どれかが突出していない限り政治家能わざることを示す一冊。
読了日:07月15日 著者:青木理

 

 

  大江のユーモアに関して言及している部分があり、それもまた江藤との決定的違いだったと指摘してる箇所が個人的には印象的。「同時代」の文壇と人間関係、その背後の社会を論じており、評伝であって作品論に踏み込まないとしているものの、矢張り両者の作品への興味は必然湧く。大江の次男をモデルにした人物が登場しなくなった経緯等、どうもサローな興味で読んでしまった。しかし、江藤が妻を亡くした際、その名を呼びながら「もう名誉はいらないよ」と嘆いた挿話は、無性にホロリさせられる。関係者も多彩、エピソードも豊富な充実した一冊。
読了日:07月14日 著者:小谷野 敦

 

 

狼は罠に向かう: エアウェイ・ハンター・シリーズ (光文社文庫)
 

  襲撃、拷問、虐殺——。殺戮機械呼ばれる男・西城秀夫は、その戦闘力を買われて詐取された現金と林彪への密書を追い英領香港へと飛ぶ。単身、中国マフィアの襲撃を受けるも、そのタフさで次々と敵を粉砕し、消えた現金と密書の秘密へと近付いていくが……。中国マフィアの成り立ち、銃器やナイフ、車への詳細な描写、そして次々に繰り広げられる殺戮シーンは、著者のお手の物だ。一見ストーリィは単純だが、そうしたディテイルが、乾いた文章に強度を与え、西城という無敵のヒーローの無敵性を担保しており、その無頼さは、しかし自由の裏返しなのだ。
読了日:07月08日 著者:大藪 春彦

 

 

負けない力 (朝日文庫)

負けない力 (朝日文庫)

 

  著者特有の流行や事象の背景に到るまでの複雑で混みいった、そして時として捻くれた思考過程が展開してゆく様が、実は個人的に読んでいて爽快感さえある。それは、快刀乱麻を断つ爽快さとは異なり、一般的、日常的なものに潜む複雑な背景に気付かされることに由来するのだ。その複雑な考えは、得てして役には立たない。だが、その考えを可能にし、発見することこそ知性の働きである。知性に対し時にシニカルにしかし真摯に考えを巡らせた好編。明治近代以降からこれからの世界へと通じる庶民の精神史。
読了日:07月03日 著者:橋本 治


 漫画も含めて最近の中では冊数多く読んだ方だろうか。短編を幾つかとか含めればもっとなのだが。しかしコンスタントに、一箇月平均十冊以上は読みたいものだ。資料や副読本等を問わず。  

 それにしても、今は屋内にいても、うっかり熱中症になってしまう気候だ。それはうっかり命の危険に晒されていると云うことでもある。「記録的云々」の報道も結構だが、それと伴って、若しくはそれ以上に暑さに対して用心と対策を講じ、健康と体調に気を付けて過ごされたい。過酷な環境よりも、快適な環境の方が読書もまた捗ることは自明である。

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