奥津城まで

所謂日記だ。ブログには何度もトライしては挫折してきた。出来ることなら長く続けたいと思い、上のようなブログ名にした所存。

七月に読んだ本を紹介するよ

 やっはろー。毎日暑くて大変ですね。と、云う間もなく早一箇月が経ってしまった。先月に読んだ本を紹介して、またもお茶を濁したい。

 

 

7月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2243
ナイス数:27

 

  アタマオカシイ連中が繰り広げる修学旅行回。少女漫画家脳の梅太郎を中心に、みこりんは突っ込み、若と結月は夫々不在中に株を上げ、堀ちゃん先輩の鹿島好きに拍車が掛かり、千代ちゃんははっきり「変態」と呼ばれる。一瞬、都先生が一番常識人に見えてくる錯覚を、俺は抑えきれない。
読了日:07月28日 著者:椿いづみ

 

 

  神林「プロレスファンって、ちょっと面倒臭いイメージあるな」  

 長谷川さん「えっ、SFファンよりもですか!?」  

 神林「!!」

 さり気なく本音をぽろりするスミカちゃんは今日も可愛い。
読了日:07月28日 著者:施川 ユウキ

 

 

水玉の履歴書 (集英社新書)

水玉の履歴書 (集英社新書)

 

  主にインタビューで構成された草間彌生の自伝的随想。一節、一節は短いが、藝術家自身の2012年頃の考えに触れることが出来る他、コラムで草間作品がどうマーケットで評価されていったのかも垣間見えて興味深い。
読了日:07月24日 著者:草間 彌生

 

 

読書の極意と掟 (講談社文庫)

読書の極意と掟 (講談社文庫)

 

  『漂流』の時に一読していた。確か大江が帯のコピィを書いていたと記憶する。筒井の当時の状況と共に紹介されていて、本を通した筒井自身のバイオグラフィーのようにも読める。戦後日本SFの黎明期、小松や星との交流等が興味深い。読書は人を作るに如く一冊。親兄弟巻き込み、ボーナス注ぎ込んで「NULL」を発刊した話は有名だが、結構好きだ。
読了日:07月22日 著者:筒井 康隆

 

 

  『聖書』、『福音主義神学概説』、田辺元、『人間への途上にある福音』等の当該節を読み、それを解説していく講義スタイルの著作。著者が各方面にて論じて来た主題を神学を中心に行ったもので、最近の筆者の考え方とテーマへの入門としては適当である。歴史は繰り返すの通り、イエス・キリストによる〈革命〉は、〈申命記革命〉の構造反復である等、キリスト神学的な知識と、それによる歴史、また人間個人の見方への参考になる。普遍的なものを扱う学こそが、神学の特徴だと思わせる一冊。
読了日:07月21日 著者:佐藤 優

 

 

安倍三代

安倍三代

 

  安倍三代とその時代と同時に、政治における世襲につてがテーマとなる人物ルポ。晋三が語らざる父系を地元山口、永田町等の関係者を丹念に追う。重病に罹りながら故郷の村長、そして翼賛体制化で非推薦として当選した祖父・寛。父の後継でありながらも自力で地盤開拓をしていったバランス感覚に優れた晋太郎。そして首相の座にまで上り詰め長期政権を実現した晋三。地元は寛、晋太郎の支援として大変厚く、晋三へは口を濁す。晋三の成蹊時代の恩師の批判が痛烈で涙さえ誘う。名誉、野心、志どれかが突出していない限り政治家能わざることを示す一冊。
読了日:07月15日 著者:青木理

 

 

  大江のユーモアに関して言及している部分があり、それもまた江藤との決定的違いだったと指摘してる箇所が個人的には印象的。「同時代」の文壇と人間関係、その背後の社会を論じており、評伝であって作品論に踏み込まないとしているものの、矢張り両者の作品への興味は必然湧く。大江の次男をモデルにした人物が登場しなくなった経緯等、どうもサローな興味で読んでしまった。しかし、江藤が妻を亡くした際、その名を呼びながら「もう名誉はいらないよ」と嘆いた挿話は、無性にホロリさせられる。関係者も多彩、エピソードも豊富な充実した一冊。
読了日:07月14日 著者:小谷野 敦

 

 

狼は罠に向かう: エアウェイ・ハンター・シリーズ (光文社文庫)
 

  襲撃、拷問、虐殺——。殺戮機械呼ばれる男・西城秀夫は、その戦闘力を買われて詐取された現金と林彪への密書を追い英領香港へと飛ぶ。単身、中国マフィアの襲撃を受けるも、そのタフさで次々と敵を粉砕し、消えた現金と密書の秘密へと近付いていくが……。中国マフィアの成り立ち、銃器やナイフ、車への詳細な描写、そして次々に繰り広げられる殺戮シーンは、著者のお手の物だ。一見ストーリィは単純だが、そうしたディテイルが、乾いた文章に強度を与え、西城という無敵のヒーローの無敵性を担保しており、その無頼さは、しかし自由の裏返しなのだ。
読了日:07月08日 著者:大藪 春彦

 

 

負けない力 (朝日文庫)

負けない力 (朝日文庫)

 

  著者特有の流行や事象の背景に到るまでの複雑で混みいった、そして時として捻くれた思考過程が展開してゆく様が、実は個人的に読んでいて爽快感さえある。それは、快刀乱麻を断つ爽快さとは異なり、一般的、日常的なものに潜む複雑な背景に気付かされることに由来するのだ。その複雑な考えは、得てして役には立たない。だが、その考えを可能にし、発見することこそ知性の働きである。知性に対し時にシニカルにしかし真摯に考えを巡らせた好編。明治近代以降からこれからの世界へと通じる庶民の精神史。
読了日:07月03日 著者:橋本 治


 漫画も含めて最近の中では冊数多く読んだ方だろうか。短編を幾つかとか含めればもっとなのだが。しかしコンスタントに、一箇月平均十冊以上は読みたいものだ。資料や副読本等を問わず。  

 それにしても、今は屋内にいても、うっかり熱中症になってしまう気候だ。それはうっかり命の危険に晒されていると云うことでもある。「記録的云々」の報道も結構だが、それと伴って、若しくはそれ以上に暑さに対して用心と対策を講じ、健康と体調に気を付けて過ごされたい。過酷な環境よりも、快適な環境の方が読書もまた捗ることは自明である。

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水無月に読んだ本を紹介するよ

 

 

暑いですね。

先月に本を纏めてから早ひと月が経ってしまいました。それを光陰矢の如しと云うのかも知れませんが、個人的にはまだ漸く半年と少しが経ったくらいかとの思いです。

いずれにしましても、最早惰性と化している感のある先月に読んだ本の紹介をダラダラとしてゆきたいと思います。読書メーターで御覧下さっている奇特な方は、重複する部分も多くて御免。

 

 

6月の読書メーター
読んだ本の数:4
読んだページ数:1536
ナイス数:4

 

 

獅子の門1 群狼編 (光文社文庫)

獅子の門1 群狼編 (光文社文庫)

 

 獣のような暴力性を秘めた五人の若者が繰り広げる、バイオレンス活劇。狂言回しのような役割の羽柴彦六を中心に、空手や中国拳法に触れられてはいるが、まだまだ主人公達は無軌道に本能の儘暴力を振るうだけであるので、格闘小説とまではゆかない。内に秘めたる暴力性から、彼らが本格的に格闘技の修練を積み、相対する未来が示唆される序章に当たる巻。二十五年程前の作とは云え、簡潔な文体での延々たる暴力描写は既に健在である。或いは、昏い眸の若者達の青春グラフィティ。
読了日:06月04日 著者:夢枕 獏

 

 

獅子の門 玄武編 (光文社文庫)

獅子の門 玄武編 (光文社文庫)

 

  武林館の雄・麻生誠、萩尾流最恐の男・久我重明。新たな登場人物が出揃い、暴力から効率的に人を倒すことの出来る技術--格闘技を身に付け始めた若者達の運命は、次第に交錯する。現代社会が舞台でも格闘=剣豪小説が成立可能だと証明した、夢枕流バイオレンス・エンタテインメント。興行であるプロレスの底知れぬ強さにも触れられていて、愈々加速するバイオレンス・グラフィティ。
読了日:06月10日 著者:夢枕 獏

 

 

  原作小説よりも、新房監督版アニメとの違いが気になって購入。メメ実際煙草を吹かしているのが印象的だった。
読了日:06月16日 著者:大暮 維人

 

 

蒼い描点 (新潮文庫)

蒼い描点 (新潮文庫)

 

  青春の香りがする——若い男女の素人探偵、そして犯罪の原因が、関係者等の若き頃に求められ、どこか遠い青春の残像といった趣きのある一編。描写に情緒は感じられないが、箱根や浜名湖、犬山に五城目といった地名だけでも旅情が湧くのは地名の魔術か。しかし現場を覆う霧の情景は印象的だった。人々の思惑が幾重にも絡まり現象を複雑にしてるタイプの事件は、一見境界ない社会を舞台にしているからかも知れない。犯人側も工作に手を広げ過ぎるきらいはあるが、犯人の意外性もまた随一である。
読了日:06月29日 著者:松本 清張

読書メーター

 

 久し振りに夢枕獏の著作を読んだ。「陰陽師」連作もまだまだ刊行され続けているようで、結構なことだ。「餓狼伝」と「キマイラ」、そして完結した「新・魔獣狩り」も纏まった形で読めるようになればいいなと勝手に思う。

 それにしても、水無月も四冊と、今までになく少ないですね。常時ぼやいているように多ければ良いものでもない訳ですが……。

 それでは皆様、大変暑い日が続きますので、熱中症その他健康には充分に気をつけて、面白い本を沢山の読み、豊かな生活を送って下さい。 オ・ルヴォワール。

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皐月に読んだ本の紹介

やっはろー。水無月も半ばだと云うのに、昨月読んだ本の紹介です。ここ毎月のことながら、余り冊数が読めていないと云うのが感想。

 

 

 

5月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1223
ナイス数:6

松本清張への召集令状 (文春新書 624)

松本清張への召集令状 (文春新書 624)

 

  召集令状」をキィ・ワードに、清張自身の従軍体験と、作家のネガティヴな内面、それを創作の情熱として諸作を生み出してきた様子が、嘗ての担当編集者によって語られる。長編『遠い接近』を中心に、本来ランダムであるべき赤紙の交付に係員の恣意が挟まれていたこと、軍隊という閉鎖された官僚機構内での陰惨なリンチ、稼ぎ頭である家長を兵隊にとられ路頭に迷う可能性のある家族等、清張が筆で「組織・権力」と相対することへの源泉となった体験を主軸とした、迫力と深刻さを伴った作家評伝である。昏い情念は何物よりも鋭利に巨権と対峙した。
読了日:05月16日 著者:森 史朗

 

   え、鶴田版「エマノン」は、諸事情によりこれが目下のところ、最終巻になっちゃうの!?  でも最後、凄い引きなのだが……。 以前登場した「兄」のように、様々な能力を持つ人々と出逢うエマノン。その中で、彼女が一個人・荏衣子として家族と共に暮らし、生命進化の生き証人として、その本能に従いさすらい出すまでが一つのストーリィとなる。個人、家族、種々の人間関係の葛藤が、淡々としたカットの中に、深いドラマと余韻を残す。生まれながらに全生命の記憶を持つ少女が一時真に少女の時代を過ごした、永遠と儚さの間を結晶させた一冊。
読了日:05月12日 著者:梶尾真治,鶴田謙二

 

眼の壁 (新潮文庫)

眼の壁 (新潮文庫)

 

   手形のパクリ詐欺に端を発した事件は、何人もの関係者の死を呼ぶ。会社に対する責任を感じて自殺した上司の無念を晴らす為に、素人探偵を行う萩崎竜雄は、友人の新聞記者と共に、事件の背後に潜む黒幕へと迫るが……。著者が楽しんで書いたとの噂通り、文章も伸びやかで、かと云って弛緩する所はない。時折挟まれる竜雄の素人「俳句」も、そんな著者の余裕の現れであろう。個人情報の取扱については時代を感じるが、それが瑕瑾ではなく、寧ろ新幹線もない頃の話であっても、気にならず時を超えて楽しめる、推理小説の佳作である。
読了日:05月08日 著者:松本 清張

 

 読了日:05月06日 著者:上橋菜穂子,荻原規子,清水真砂子,萩尾望都,白井弓子,上田早夕里,横田

 

 

埴谷雄高 (講談社文芸文庫)

埴谷雄高 (講談社文芸文庫)

 

  読了日:05月05日 著者:鶴見 俊輔

読書メーター

 思った程感想も書けていないなァと我ながら意外。雑誌等は全ての記事を読む訳ではないので、気になった箇所をノートすれば良いのだろう。「ユリイカ」のル=グウィン追悼特集は、本文もさることながら、後記で「フレッシュプリキュア!」に触れていて吃驚した。

 鶴見俊輔埴谷雄高』は、ハードカヴァ版の文庫化。補遺あり。『夢野久作埴谷雄高』から読んでいるので、三ヴァージョン目だ。

 皆さんが、面白い本を読んで、豊かに人生を送れますことを願って止まない。

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高畑勲のテレヴィ・アニメ

 今日付けの朝日新聞朝刊で、プリキュア特集が組まれたらしいが、拙宅は朝日新聞を購読していないし、朝コンビニ等へ買いに行くことも出来なかった。大変遺憾だが、また何処かでコピィさせて貰おう。

 週が始まったが、特段これと云ったことはなく、うかうかと過ごしている。うかうかと過ごしていれば、いずれその短さに気が付くのが、人生なのだろう。余り能く判りたくはないのだけれど。

 

 「キネマ旬報」今月号は、高畑勲追悼特集だった。幾人かの関係者にインタヴューした記事と、叶精二による論考が載せられている。インタヴューでは、個人的に東映動画時代の同僚である、池田宏と小田部羊一と云う同時代の語りが興味深かった。高畑は、東映動画初のテレヴィ向けアニメーション「狼少年ケン」に参加した世代である。テレヴィアニメ黎明期から携わった高畑は、その後映画に軸足を移して行くのは周知の通りだが、前出二人に加え、「ハイジ」にコンテで参加した富野由悠季等、テレヴィ時代の仕事を知り、評価する声は貴重に思える。雑誌が「キネマ旬法」でそれを載せると云うものまた意義があるように思われる。

 高畑の劇場初監督作品と云えば、「太陽の王子ホルスの大冒険」だ。それは、同時に東映動画に入社した宮﨑駿と組んだ作品でもある。先に三鷹の森ジブリ美術館で行われた「お別れ会」において、宮﨑の追悼の言葉は、高畑=パクさんと雨の日のバス停での初めての出会いで始まり、「ホルス」について触れていた。あの頃、自分たちは凄いことにをやっていると云う実感があったと語っていた。そこから推しても、東映動画でのパクさんとの出会い、そして「ホルス」への参加が、宮崎にとって如何に根元的な体験であったのかが知れる。

 映画監督としての業績は多々語られど、アニメ演出家としては、まだ一部の評価に留まるように思われる。関係者だけでなく、一般にもその驚異的演出が遡って感じられた時、高畑勲の名は、映画とアニメーション両方を越境して残っていくのかも知れない。順序が逆だが、それはインタヴューを寄せていた富野由悠季が、「ガンダム」以前に遡って評価されることと、一部似通っているように思う。

 高畑は、自身のリアリズムを「異化」と云った。それはロシア・フォルマリズムの用語であり、同じ時期に東大仏文科に在籍していた大江健三郎もまた、異化を自身の小説の技法として唱えている。それは同時代性であり、小説とアニメ=映画と表現は異なれど、或る世代の生み出した世界的藝術に通底してるものの一つなのだ。

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ルールーの苦悩と回心

 風邪が抜け切らないと云うよりは、別な原因で身体が不調だ。明日までには良くなってくれればいいのだが……。

 本日は、文学フリマ金沢で、自分が所属している同人が、会誌を即売しているんだが、そんなこんなで陣中見舞いにも行けない。関西に行くよりも近いので、一度は行ってみたかった。

 

 

 

 「Hugっと!プリキュア」は、敵キャラであるルールー・アムールが主人公達と対決し、それを乗り越えて仲間になると云うかいプリキュアでは「フレッシュプリキュア!」以降定番として見受けられる展開だ。今回もそのパターンに沿ったかのように話は進む。脚本は田中仁、総作画監督は宮本絵美子と、ヴェテラン揃いだ。

 ルールー自身は、初回から登場するしていて、回を追う毎に主人公達に近付き、例によって仲良くなり、情にほだされる。そして元の所属元(今作ではクライアス社)WO裏切るようにしてプリキュア側に付く。それまでに二転三転あり、主人公の必死の説得と、引き裂かれるような当人の苦悩の果てに、一度は拳を交えると云う少年漫画のような展開を経て、遂に回心するのだ。その過程は最早伝統藝である。

 今回のルールーにしてみても、その轍を踏んでいるように思われる。しかし、東せつなこと、イースが死んでキュアパッションになったように、またトワイライトがキュアスカーレットになったように、死闘の果て、直ぐにプリキュアとして生まれ変わる展開ではなかった。それは、ルールー自身が生身の人間ではなく、今以てアンドロイドであることと関係しているように思う。よく奇蹟が起きるアニメなので、今後ルールーが生身の人間になるのか、それとも人造生命として、しかし自我と心をお持ち、その苦労を背負いながらも活躍していくのか不明であるが、アプローチとしては興味深い。

 直ぐにプリキュアにならなかったことも、今後のドラマの可能性を残していて、ルールーが主人公達やその周囲の人物と関わることで、どのように変化し、ストーリィを盛り上げてくれるか期待だ。

 

 嗚呼、久し振りにプリキュアについて書いたら気がする。OPED主題歌CD買ってないかなと思ったが、きちんと購入していた。流石俺。

 

 

HUGっと! プリキュア キャラクターシングル

HUGっと! プリキュア キャラクターシングル

 

 

 

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卯月に読んだ本を纏めるよ

 やっはろー。  愚図愚図と毎日を過ごしていたら、今月の更新は、今回が初となってしまった。 新年度でどうこうあったのは確かだが、書くことくらい継続出来なければ、先が思いやられる。  と、云う訳で、今更ながら、先月読んだ本を紹介するよ。

 

4月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1455
ナイス数:8

 

DINERダイナー 3 (ヤングジャンプコミックス)

DINERダイナー 3 (ヤングジャンプコミックス)

 

  「スキンのスフレ」エピソードが終了。原作だともっと救いのない結末だった気がした。コミックはコミックの良さがあるので、原作から少し離れてみるようにしたい。帯には盟友(?)京極夏彦が心配の文を寄せている。凶気原作超えは勘弁してほしいとのことだ。「キャンティーン」には子供姿の殺し屋キッドが侵入。カナコは既にして相当悲惨な目に遭っているが、多分まだ地獄の二丁目辺りを漸く過ぎようとしているくらいだと思う。
読了日:04月24日 著者:河合 孝典

 

 

怪 vol.0052 (カドカワムック)

怪 vol.0052 (カドカワムック)

 

  特集はズバリ「『怪』と妖怪」。水木大先生直々の希望である機関紙としての「怪」発刊当時の模様、それ以前に荒俣と小松先生が執筆した工作社の「遊」系列の雑誌まで、妖怪とニューアカが繋がっていたと判る四者対談が面白かった。また、「怪」のアプローチの仕方や妖怪に対する捉え方の変遷にも触れられており、中心や定義が難しい故に五年十年と云うスパンでもその存在規程が変わってゆくのは、人の世を反映している為か。四月に放送開始された6期鬼太郎についても頁が割かれている。

 

 

DINER ダイナー 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

DINER ダイナー 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 

 「Innocent Prayer」なる原作者の別作品からとったタイトルを冠するコミックオリジナルのエピソードがあったり、それが、福本作品も吃驚のマッドなゲームだったりして、地獄にこそ人間の想像力は発揮されるのだとさえ思ってしまう。菊千代も早々登場しており、ある日突然落ちた地獄の底で、カナコは如何に逞しく獰猛になってゆくか楽しみだ。原作者あとがきも、ダイナー「キャンティーン」の由来が紹介されていて、興味深い。
読了日:04月22日 著者:河合 孝典

 

 

DINER ダイナー 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

DINER ダイナー 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 

  1、2巻が今年の頭に同時刊行されていたようだ。ボンベロは、もっとガタイがよくで厳つい、 CV.大塚明夫をイメージしていたのだが。あと、調理をする際には、どんなに腕が良くともエプロン的なものは身に着けるのではないだろうか。 原作に依拠しつつも、オリジナルエピソードも交えたストーリィになっており、今後の展開に期待。息を吸うようにエグい事をする殺し屋達が、良い感じに平山テイストだ。
読了日:04月22日 著者:河合 孝典

 

 

 

 

 

 

 

 

『誰も語らなかったジブリを語ろう』を読んでいる最中に、パクさんこと高畑勲の訃報があった。それについても、いずれ機会があったら書きたい。何時になるかは判らんが。  それにしても、理由、もとい云い訳は幾つも考えられるが、本を読む量が圧倒的に少ない。最低でも十冊は読めていなければならない。勿論、充実した読書は必ずしも量と比例するわけではないが、月に三十冊程読む人もいるし、読書量はジャストミートする本と出逢う為にも、欠かせない要素だ。  漫画、小説、ノンフィクション、単行本に雑誌の区別なく、読むことが大事だ。それはまた、掛け替えのない行為である。  それでは、皆様も沢山本を読み、素晴らしい読書人生を過ごして欲しい。読むことは生きることであり、その逆もまた然りだ。

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彌生に読んだ本を紹介するよ

 皆さん今日は。ご機嫌如何ですか。季節外れの暑さで桜も早いですね。 と云うことで、先月から恒例にしようと思っている、読書メーターの読んだ本まとめです。総じた感想としては、意外に少ないなと。生きている限り、息を吸うように読書していきたいものです。

 

3月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1866

 

パディントン発4時50分 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

パディントン発4時50分 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

  パディントン発の列車を用いた時刻表アリバイトリックでもなければ、鉄道ミステリでもない。並走する列車の窓に、殺人を目撃してしまう卓抜した摑みから始まる。優れているのは摑みもだが、目撃者が殺人犯に狙われるのではなく、死体の在処を巡り、舞台がラザフォード・ホールに移るストーリィもだ。クラッケンソープ家を中心に不明の死者の事件は、ミス・マープルの依頼を受けたフリーランスのメイドによって調査されてゆく。死体は何処にあるのか、そして何者か、著者の描写が冴えるクリスティー版「家政婦は見た」。
読了日:03月21日 著者:アガサ クリスティー

 

 

富豪刑事 (新潮文庫)

富豪刑事 (新潮文庫)

 

 湯水の如く金を使い事件を解決する富豪刑事こと神戸大助の活躍を描く連作短編。特徴的なのは、犯人を挙げる為、警察側が巨額の「私費」を投じてトリックを仕掛けることだ。また、全4編夫々も、強盗、密室、誘拐、暴力団抗争? とヴァラエティに富んでおり、警察が大助の私費を遣って用いるトリックも様々である。作者特有の軽妙な語口、メタ的発言や描写、そして時系列をバラバラにする実験的な手法等、筒井テイストに溢れている。作者は推理小説は慣れていないと云ってたそうだが、中々の筒井式本格ミステリ・コメディである。
読了日:03月19日 著者:筒井 康隆

 

 

黒い手帖 (中公文庫)

黒い手帖 (中公文庫)

 

  推理小説への読者且つ実作者としての重い。当時の社会を騒がず事件の数々への鋭い推理と意見、そして創作の裏話等を綴った随筆集。作者の生の声に満ちていて、迫力ある一冊。清張のような創作意識とそれによる優れた諸作がなければ、後世の人々が引いた「本格タンテイ小説は人間が書けていない」云々の言説は全く空疎な言葉に等しいことが明らかである。他、日常、社会、マスコミから実作を練り上げてゆく過程が独自の視点に富んでいて興味深い。
読了日:03月17日 著者:松本 清張

 

 

  2018年4月放送分のNHK「100分de名著」松本清張スペシャル講師による『神々の乱心』に関する解説。象徴となる土地の名を冠した章題と講義調の文で読み易いが、史実と小説での出来事、登場人物が混在してしまうので、『神々の乱心」を読了後に読む方が一層楽しめる。政財界、差別、そして遂には皇室にと数々の禁忌に踏み込んできた清張のミステリとはジャンル分け出来ない巨篇。今もって問題となってきている天皇、そして皇室への興味や問題提起の契機としても単にエンタテインメントであるに止まらない含蓄や豊かさが盛り込まれている。
読了日:03月16日 著者:原 武史

 

 

炎と怒り――トランプ政権の内幕

炎と怒り――トランプ政権の内幕

 

  社会の核でありながら、極北でもある政治には、濃密な人間臭さがある。それが政治ノンフィクションを読む醍醐味だ。本書もともするとある種のゴシップと受け取られかねないが、遙かにディテイルに富んでいる。後半では当の大統領自身が目立って描かれず、周辺の狂騒染みたエピソードが多くなり、それがトランプ政権というものを暗示しているかに思われる。政治素人達と仕事をまともに行おうとするプロフェッショナル職員の奮闘は奇妙に滑稽だ。読後、政治的理念や意志の乏しい者に政権運営は任せられないという当然の認識を愚かにも抱く。
読了日:03月10日 著者:マイケル ウォルフ,Michael Wolff

 

 

松本清張 「隠蔽と暴露」の作家 (集英社新書)

松本清張 「隠蔽と暴露」の作家 (集英社新書)

 

 「隠蔽と暴露」をキィ・ワードに、清張の作品がテーマ毎に紹介されている。徹底した疑義こそが、清張の諸作の特徴であるとし、同時に今現在に松本清張を読む意義が検討されている。「現代」の解説書としての傾向が強くなった新書と云う形態に適当な清張論である。

読了日:03月07日 著者:高橋 敏夫

読書メーター

 

 定期的にテーマを決めて読書計画を立てる。年始は筒井康隆であったし、『富豪刑事』で一段落させ、最近では松本清張の現代推理長編を始めから順に読んでいこうと思った。しかし、読書計画なるものは、須らく夏休み直前の計画と同じで、計画通りに等進捗しない運命だ。それにどんな本を読もうかと計画を立てている最中が、実は既に結構愉しかったりする。勿論、面白い本を読んでいる最中も同じくらい愉しい訳であるが。

 読む本、そして感想を書くに値する本はどっさりと仕入れてあるのだが、中々の浮気性な所為か手を着けていないことが問題だ。別段、紹介目的で読書をしている訳ではないのだが、しかしアウトプットすることで血肉になればそれに越したことはない。理解が深まること、また、新たな読み方が出来ることへの発見が、読書を一層面白くするのだから。

 皆さんも、年度始めでご多忙かと思いますが、お互い面白い本を沢山の読み、愉快なライフを送って頂きたい。

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