奥津城まで

所謂日記だ。ブログには何度もトライしては挫折してきた。出来ることなら長く続けたいと思い、上のようなブログ名にした所存。

「ゆるさ」と自由、そして哲学のスタイル

東浩紀著『観光客の哲学 増補版』(ゲンロン)が届いた。「はじめに」、各翻訳に書き下ろされた序文に、新章二章を加えた充実の一冊だ。パンデミックが起こり、戦争が始まって、一見すると「観光」の危機のように思われるが、しかしその内容が提起する議論はい…

永遠の彼と彼自身——大江健三郎・追悼

私が大江健三郎の訃報を知ったのは、午後、病院の待合スペースに設置されたテレヴィ・ニュースでだった。それは緊急速報のような短時間のニュースで、今月三日に老衰で亡くなっていたこと、葬儀は近親者のみで済ませ、お別れ会を予定していること等が簡潔に…

永遠の戦後と森のイメージ

大江健三郎が亡くなった。凄い喪失感だ。今ほど文學藝術は永遠であってほしいと思ったことはない。 https://twitter.com/gunzo_henshubu/status/1635160827220344833?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Etweet

身体の憂鬱

最近また間食が増えたせいか、お腹周りが重い。冬を前にして栄養を蓄える熊ではないのだから、色々節制しなければいけない。まあ、食欲があるのは健康のバロメイターなのだろうけれど。 仕事は週明けのせいか多少は忙しかった。特に商談の予定はないが、いざ…

追悼・A先生

藤子不二雄(A)が亡くなった。本名・安孫子素雄。享年八十八歳。 最もよく読んだ氏の漫画は、『まんが道』とその続編である『愛…しりそめし頃に…』だ。前者は地元の図書館に光文社漫画文庫版が蔵書としてあったので。また、後者は1998年に「ビッグコミックオ…

趣味的な文章

午前中、薬が切れたのでかかりつけの医院へ行く。 健康の話をすると、自分が歳を取っていることを大きく二つの意味で実感する。一つは身体が物理的に衰えてきたから。一つは自分の健康の話など、若い人々には関係の無い話題なので不用意に口にしたりしないよ…

「昭和の戦争」と「ポニョ」

抽象的で、主張めいたものも、結論めいたものもない文章を取り留めもなく書くのは、凡そやってはいけない表現だろう。詰まり何が云いたいの? と問われるのが落ちだし、それは真っ当な意見だ。 今日は何時になく歩いた所為か(勿論仕事でだが)、脚が疲れた。…

永遠のR2-D2——或いは最近の読書について

ケニー・ベイカーが亡くなったのは、ちょっとショックだ。 無論、自分が一番かの俳優に親しんだのは、顔出しすらしていなかった「スター・ウォーズ」シリーズなのだが、彼の演技が、あのユニーク且つユーモラズで、最も頼りになるR2-D2に生命を与えているの…

ハーラン・エリスンの思い出と新刊

世間は明日から盂蘭盆会だ。 そしてオリンピックと高校野球で話題は持ちきりだ——と思う。 残念ながら、お盆は兎も角、スポーツの祭典の方は何方も詳しくは知らないし、今後急に詳しく知ることもないだろう。エクスキューズをしておくが、別段これは二つの夏…

葉月初旬にてーー傾向と読書

何時の間にか夏だ。 わざわざ、はてなさんから、そろそろブログ来ませんかメールが届いたからと云う訳でもないが、取り敢えず更新してみる。ネタは探せば沢山あるものだが、それを加工して他者に発信出来る文章にするのが、困難だ。無論、文章に限らず、凡そ…

谷崎「疎開日記」を読む

まとまった時間を取ろうと思えば取れるのがば、電車通勤でなくなって、本を読む時間は、比較的減少して久しい。 仕事が忙しいかと云えば、この御時世、そうであるに越したことはないのやも知れないが、今の所そうでもなく、家事もそうそう熟す必要もまたない…

数十年振りの「マブゼ国」

水無月に這入って漸く2本目の記事とは、何とも情けない限りだ。 湿度に加えて気温も上がり、蒸し暑さに、息も絶え絶えになっている皆さん、如何お過ごしでしょうが? 体力のない僕は、平日夜になると、何だか足が痛みます。特に脛の部分が。筋肉がないからで…

「ホビット」で暮れたゴールデンウイーク

ゴールデンウイークもいつの間にか終わり、平常運転に戻った週もまた終わろうとしている。こうして、今年もあっと云う間に半分が過ぎ、全部が過ぎてしまうのだろう。毎年毎年結構なことだ。 ゴールデンウイーク中に、計画の一環として(そんな大したものでは…

連休中日——或いは呉茂一『ギリシア神話』について少し

連休も折り返しと云うことらしい。 時間はあるが銭のない連休程虚しいものはないのだろうが、独り上手で引き籠り上手は自分は楽しくやっている積りだ。 ただ、BDとPCとスマホの為か、昨日から偏頭痛が少しして鬱陶しいが……。 今朝方は雨が降っていたが、日中…

出版界に貢献しない読者——最近の読書について

自分は、余り現在の出版界に貢献する善良な読者ではない。 読むものと云えば、既にパブリックドメインと云うか、作者が亡くなって50年経って、版権フリーになっているものが主で、しかも気に入れば、小口が手垢で黒くなる程、繰り返し読んだりする。 面白そ…

ゴールデンウィークと読書

もう直ぐ連休ということで、中には今週の金曜日から、再来週明け辺りまで休みの方もいらっしゃることだろう。 以前洛中に住んでいた頃は、ゴールデンウィークと云えば、京都産業会館「みやこめっせ」で開かれていた春の古本市に出かけて行ったものだ。 今は…

ネット書店交々

以前、丸善ジュンク堂ネットストアを利用していた。 実家に引っ越して、近所に大型書店がなくなり、どうしても近隣の本屋で売っていないものは、当該のサイトから購入していた。 Amazonも利用していたが、当該サイトの利点は、丸善ジュンク堂のカヴァーをし…

何時もの休日

晴れて、洗濯をするには丁度良い一日だった。 カレンダー通りの休日なので、何時ものように家の掃除をして半日が終わる。トイレ、廊下、玄関とそうそう手の込んだことをする訳ではないので、大して時間は掛からないが、徹底的にやろうとしても切りがないので…

人の情念と時代の怒濤ーー山田風太郎『魔群の通過』感想

今日は晴れて、昼間はじっとしていたら何だか暑かった。 それでも立秋も過ぎ、9月に這入って、もう直ぐ彼岸だ。ぐだぐだとしていたら、その内秋になり、聞こえている蝉の声も気がついたら聞こえなくなってしまっているのだろう。 暫く前に、『日本のいちばん…

休日と読書

終日雨が降ったり止んだりだった。 休日だと、家の掃除だとか草むしりだとかしか特段することもないし、外には天候的に出られないから草むしりは出来ないので、終日家にいた。 お蔭で、と云うか、読み掛けであった本が二冊も読めた。半藤一利『日本のいちば…

転換点の一日ーー『日本のいちばん長い日』感想

昨日で、半藤一利著『日本のいちばん長い日』を読了した。 丁度一週間前、公開中の映画を観たので、どうしても比較してしまう。映画の感想は以前の記事を参考にして下さい。 本書のプロローグは、ポツダム宣言が交付された箇所から始まる。それに回答期日が…

「悪魔の手毬唄」と『ヒトラーとナチ・ドイツ』

夕刻以降、雨が降ったりした所為もあってか、半袖では肌寒い程だった。 去年までは関西に住んでいたので、お盆が過ぎても、正直十月くらいまでは暑い暑いと思っていたものだが、実家に戻ってきてまだ一年と経たないが、矢張り気候は明らかに違うのであろう。…

トールキン未完作刊行

トールキンの未完作が刊行されるとの話が出ている。 「指輪物語」原作者トールキンの中つ国を舞台にした未完作が刊行されることに - GIGAZINE シルマリルリオンで語られた、悲劇の竜殺しの英雄トゥーリンのご先祖の話とのことだが、書影といい、中々ファンの…