奥津城まで

所謂日記だ。ブログには何度もトライしては挫折してきた。出来ることなら長く続けたいと思い、上のようなブログ名にした所存。

七月に読んだ本を紹介するよ

 やっはろー。毎日暑くて大変ですね。と、云う間もなく早一箇月が経ってしまった。先月に読んだ本を紹介して、またもお茶を濁したい。

 

 

7月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2243
ナイス数:27

 

  アタマオカシイ連中が繰り広げる修学旅行回。少女漫画家脳の梅太郎を中心に、みこりんは突っ込み、若と結月は夫々不在中に株を上げ、堀ちゃん先輩の鹿島好きに拍車が掛かり、千代ちゃんははっきり「変態」と呼ばれる。一瞬、都先生が一番常識人に見えてくる錯覚を、俺は抑えきれない。
読了日:07月28日 著者:椿いづみ

 

 

  神林「プロレスファンって、ちょっと面倒臭いイメージあるな」  

 長谷川さん「えっ、SFファンよりもですか!?」  

 神林「!!」

 さり気なく本音をぽろりするスミカちゃんは今日も可愛い。
読了日:07月28日 著者:施川 ユウキ

 

 

水玉の履歴書 (集英社新書)

水玉の履歴書 (集英社新書)

 

  主にインタビューで構成された草間彌生の自伝的随想。一節、一節は短いが、藝術家自身の2012年頃の考えに触れることが出来る他、コラムで草間作品がどうマーケットで評価されていったのかも垣間見えて興味深い。
読了日:07月24日 著者:草間 彌生

 

 

読書の極意と掟 (講談社文庫)

読書の極意と掟 (講談社文庫)

 

  『漂流』の時に一読していた。確か大江が帯のコピィを書いていたと記憶する。筒井の当時の状況と共に紹介されていて、本を通した筒井自身のバイオグラフィーのようにも読める。戦後日本SFの黎明期、小松や星との交流等が興味深い。読書は人を作るに如く一冊。親兄弟巻き込み、ボーナス注ぎ込んで「NULL」を発刊した話は有名だが、結構好きだ。
読了日:07月22日 著者:筒井 康隆

 

 

  『聖書』、『福音主義神学概説』、田辺元、『人間への途上にある福音』等の当該節を読み、それを解説していく講義スタイルの著作。著者が各方面にて論じて来た主題を神学を中心に行ったもので、最近の筆者の考え方とテーマへの入門としては適当である。歴史は繰り返すの通り、イエス・キリストによる〈革命〉は、〈申命記革命〉の構造反復である等、キリスト神学的な知識と、それによる歴史、また人間個人の見方への参考になる。普遍的なものを扱う学こそが、神学の特徴だと思わせる一冊。
読了日:07月21日 著者:佐藤 優

 

 

安倍三代

安倍三代

 

  安倍三代とその時代と同時に、政治における世襲につてがテーマとなる人物ルポ。晋三が語らざる父系を地元山口、永田町等の関係者を丹念に追う。重病に罹りながら故郷の村長、そして翼賛体制化で非推薦として当選した祖父・寛。父の後継でありながらも自力で地盤開拓をしていったバランス感覚に優れた晋太郎。そして首相の座にまで上り詰め長期政権を実現した晋三。地元は寛、晋太郎の支援として大変厚く、晋三へは口を濁す。晋三の成蹊時代の恩師の批判が痛烈で涙さえ誘う。名誉、野心、志どれかが突出していない限り政治家能わざることを示す一冊。
読了日:07月15日 著者:青木理

 

 

  大江のユーモアに関して言及している部分があり、それもまた江藤との決定的違いだったと指摘してる箇所が個人的には印象的。「同時代」の文壇と人間関係、その背後の社会を論じており、評伝であって作品論に踏み込まないとしているものの、矢張り両者の作品への興味は必然湧く。大江の次男をモデルにした人物が登場しなくなった経緯等、どうもサローな興味で読んでしまった。しかし、江藤が妻を亡くした際、その名を呼びながら「もう名誉はいらないよ」と嘆いた挿話は、無性にホロリさせられる。関係者も多彩、エピソードも豊富な充実した一冊。
読了日:07月14日 著者:小谷野 敦

 

 

狼は罠に向かう: エアウェイ・ハンター・シリーズ (光文社文庫)
 

  襲撃、拷問、虐殺——。殺戮機械呼ばれる男・西城秀夫は、その戦闘力を買われて詐取された現金と林彪への密書を追い英領香港へと飛ぶ。単身、中国マフィアの襲撃を受けるも、そのタフさで次々と敵を粉砕し、消えた現金と密書の秘密へと近付いていくが……。中国マフィアの成り立ち、銃器やナイフ、車への詳細な描写、そして次々に繰り広げられる殺戮シーンは、著者のお手の物だ。一見ストーリィは単純だが、そうしたディテイルが、乾いた文章に強度を与え、西城という無敵のヒーローの無敵性を担保しており、その無頼さは、しかし自由の裏返しなのだ。
読了日:07月08日 著者:大藪 春彦

 

 

負けない力 (朝日文庫)

負けない力 (朝日文庫)

 

  著者特有の流行や事象の背景に到るまでの複雑で混みいった、そして時として捻くれた思考過程が展開してゆく様が、実は個人的に読んでいて爽快感さえある。それは、快刀乱麻を断つ爽快さとは異なり、一般的、日常的なものに潜む複雑な背景に気付かされることに由来するのだ。その複雑な考えは、得てして役には立たない。だが、その考えを可能にし、発見することこそ知性の働きである。知性に対し時にシニカルにしかし真摯に考えを巡らせた好編。明治近代以降からこれからの世界へと通じる庶民の精神史。
読了日:07月03日 著者:橋本 治


 漫画も含めて最近の中では冊数多く読んだ方だろうか。短編を幾つかとか含めればもっとなのだが。しかしコンスタントに、一箇月平均十冊以上は読みたいものだ。資料や副読本等を問わず。  

 それにしても、今は屋内にいても、うっかり熱中症になってしまう気候だ。それはうっかり命の危険に晒されていると云うことでもある。「記録的云々」の報道も結構だが、それと伴って、若しくはそれ以上に暑さに対して用心と対策を講じ、健康と体調に気を付けて過ごされたい。過酷な環境よりも、快適な環境の方が読書もまた捗ることは自明である。

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