奥津城まで

所謂日記だ。ブログには何度もトライしては挫折してきた。出来ることなら長く続けたいと思い、上のようなブログ名にした所存。

回遊魚の憂鬱

先日から腰に違和感がある。

どうも自然と前屈みになってしまい、背筋を伸ばすのが痛かったりする訳ではないのだが、しんどい。横になっていたり、坐っていたりする分には問題ないが、車に乗ろうとして屈んだり、咳をしたりするとちょっと軽い痛みが走る。寝相が悪く、腰に負担が掛かった為なのか、それとも神経痛的な何かなのか心配だ。

以前腰の骨を折って一箇月程入院したことがある。その時も凄く大変だったが、原因は判っていた。と同時に、腰を痛めるともうどうしようもなくなると云うことも実感した。一過性の大したことのないものであることを祈るばかりだ。

 

先日、SNSで以下のような記事がシェアされてきた。

YouTubeとも信者サロンとも違う…有料動画「シラス」が絶対に炎上しない場所になれたワケ 最大の強みは「コメントの質の高さ」 

president.jp

ゲンロンの運営する(正確にはゲンロン内部の合同会社シラスが運営する)動画配信プラットフォーム・シラスが開設一周年を迎えた。大変おめでたいことだ。

www.genron-alpha.com

プレジデントオンラインの記事は、シラスが不毛に炎上しない利点がそのコメントにあるとし、設計後に見えてきたシラスの設計思想がニコニコ生放送ツイッターに加えて、はてなダイアリー(現在のはてなブログ)をモデルしていることに気づいたと云うエピソードを交え、実際の大まかな規模や収益にも触れている。

東浩紀は運営者側から、そして辻田真佐憲は配信者側からそれぞれ特徴と利点を語っており、ウェブ媒体にしてはヴォリュウムもあって良い記事だと思う。

しかし自分は、この一年で大分件のプラットフォームから離れ気味になった。

シラスが詰まらなくなったとか、規模が広まるにつれて質が落ちてきたと云うのではない。寧ろ、チャンネル数が増えるごとに多様になり、プラットフォームが掲げる本来の理想に近づいている気がする。量・質共に一層発展的に充実、成長しているのだと思う。

だから、変わったのは自分の方なのだと思う。

記事にもある通り、シラスでは固定ハンドルネーム制により、ある種のコミュニティが形成されていて、それがシラスの運営の目的の一つである旨が語られている。適度に開かれたコミュニティがあること、またそのコミュニティ内で新陳代謝があることは、健全さを保つ為に重要だ。そうした意味でも、シラスは己の理想に着実と近づきつつある。

しかし、自分はネット上でのコミュニティの重要性、利点と云うものが能く判らなくなっている。

それは個人的に、SNSであるコミュニティの一部と揉めて、中傷を受けた経験があるからかもしれない。

また、コメントは配信を活性化させるという意味でも重要で、自分もそう思っていて当初は自分なりに積極的に書き込んだりしていたが、大したことが書けるものでもなかった。ここで云う「大したこと」がどの程度のレヴェルを指しているのか実は能く判っていないが。また、相手は大したことだとは思っていないのだろうが、一時恐らく自分がしたコメントに対して揶揄的なコメントが流れたりし、正直視聴自体に消極的になっていったことも確かだ。

シラスはそのコメント効果から、リアルタイム視聴が醍醐味の一つだが、最近は敢えてアーカイヴで試聴し、その際はコメント欄は閉じている。

レビューも時々書いているが、それがどこまで効果があるのか、配信者が喜んでいるのかも不明だ。

シラス自体は、文化に資するプラットフォームであり、そこで配信されている人々は皆各方面での第一線で活躍されている人達ばかりである。特にアーティストの笹岡由梨子氏とパヴェウ・パフチャレク氏のチャンネル「ゆり子とパヴェウの必死のパッチ!」が、ポーランドからの笹岡氏の個展について配信してくださったのは、大変興奮した。おそらくシラス初の海外からのリアルタイム配信だろう。これこそが、時差も国境も超えることが、そもそもネットの可能性であり、シラスの真骨頂の一つなのだとすら思ったのだ。なので、素晴らしく公共性のある運動で、一周年を迎え、次のステージに向かわれることは嬉しく、重要なことだ。

だが、一視聴者として、試聴料金を支払う以外に何か貢献したり支援したりする力がないように思える。まあ、個人的に時間もお金も(特に後者が)そんなに無いと云う理由も大きいのだが。

繰り返すが、シラスは素晴らしいプラットフォームであり、今後ますます発展していくべき事業であり運動であることは認められることだ。

シラスとはネットを回遊する稚魚という意味もあるそうだ。

ネットの、シラスの回遊は、正直今の自分にはなんだか大変な労力を要する。

いつしか、自分がネットを、シラスを回遊することをやめてしまっても、シラスはそんなことに関係なく、一つの運動体として文化を社会を、そして政治を良い方向へと変えていってくれるかもしれない。

しかし泳ぐことをやめた回遊魚は、死ぬしかないのだ。

 

 

 

*以上三冊は、シラスのメイン・チャンネルである「ゲンロン完全中継チャンネル」が、シラス誕生前、まだニコニコ生放送を中心に配信していた番組から生まれた書籍である。シラスの放送からもゲンロン叢書を始めとした様々な媒体が生まれることを期待したい。