奥津城まで

所謂日記だ。ブログには何度もトライしては挫折してきた。出来ることなら長く続けたいと思い、上のようなブログ名にした所存。

数十年振りの「マブゼ国」

水無月に這入って漸く2本目の記事とは、何とも情けない限りだ。

湿度に加えて気温も上がり、蒸し暑さに、息も絶え絶えになっている皆さん、如何お過ごしでしょうが? 体力のない僕は、平日夜になると、何だか足が痛みます。特に脛の部分が。筋肉がないからでしょう。将来の衰えが今から心配ですが、そこまで将来の自分の為に、嫌いな嫌いな運動をする気には、実はなれません。

そもそも、将来の自分の為に何かしたこと等、今まで一度たりともなかった気がします。

 

先日、帰郷して初めて、中学高校時代があった市の図書館を、数十年ぶりに訪れてみました。関西にいた時は、もう行くこともないと思い、貸し出しカードを処分してしまったのですが、再度発行してもらうことになるとは、そんな小さなことでも、人生予期した通りにはゆかないものです。そこが人生の愉快さであり、且つ不愉快さなのでしょう。「不」の打ち消し一文字で意味合いが変わってしまう、二つは陳腐な喩えで云うなら、コインの裏表という奴です。

そこで以前、当時からして、復刊も文庫化もすることがないと思われる本を、僕は愛読していて、今回、久しぶりに借りることが出来ました。

それは、数年前に亡くなった、北杜夫著『マブゼ共和国建国由来記』です。有名な「どくとるマンボウ」シリーズの一冊であるエッセイなのですが、自宅を国家と称し、紙幣や硬貨、国旗や国家、勲章まで造ってしまった、躁時期爆発の北先生の驀進・快心撃が楽しい一冊です。

そればかりでなく、エッセイに登場する作者の知人友人が錚々たる面々です。独立国家の想を得る契機となった、まだ当時そんなに有名でなかった、ムツゴロウこと畑正憲星新一遠藤周作。そして大長老たる埴谷雄高等々、今に名を残す、当時の文藝・文化の世界の著名人の名が、当たり前のように出てくるのです。

エッセイそのものも勿論面白いのですが、「文壇」(という世間が、当時も存続していたかどうか知りませんが)的コミュニティは、案外余人には計り知れぬ、愉快な巣窟であったのだと、羨望と憧憬を錯覚してしまう程でした。まァ、みんな変な人だったのでしょう。

独立国家構想はユニークですが、僕は株に手をだそうとまでは思いません。奥様の心痛お察し致します。

とまれ、件の図書館は、今行っても思った以上に充実していました。古い方ですが、全集等も多く、新しいところでは、河出が出している池澤夏樹個人編集の世界文学全集、日本文学全集も揃えています。外国文学の翻訳全集もあって、結構楽しめます。

ただ、些か遠いのが難点です。時間と、そしてガソリン代との相談が必要です。図書館利用自体は無料なのに、交通費で悩むとは、僕もまだまだ小人物と評する他ありません。

 

では、皆さんも入梅の頃、良い読書生活を。

 

 

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