奥津城まで

所謂日記だ。ブログには何度もトライしては挫折してきた。出来ることなら長く続けたいと思い、上のようなブログ名にした所存。

彌生に読んだ本を紹介するよ

 皆さん今日は。ご機嫌如何ですか。季節外れの暑さで桜も早いですね。 と云うことで、先月から恒例にしようと思っている、読書メーターの読んだ本まとめです。総じた感想としては、意外に少ないなと。生きている限り、息を吸うように読書していきたいものです。

 

3月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1866

 

パディントン発4時50分 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

パディントン発4時50分 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

  パディントン発の列車を用いた時刻表アリバイトリックでもなければ、鉄道ミステリでもない。並走する列車の窓に、殺人を目撃してしまう卓抜した摑みから始まる。優れているのは摑みもだが、目撃者が殺人犯に狙われるのではなく、死体の在処を巡り、舞台がラザフォード・ホールに移るストーリィもだ。クラッケンソープ家を中心に不明の死者の事件は、ミス・マープルの依頼を受けたフリーランスのメイドによって調査されてゆく。死体は何処にあるのか、そして何者か、著者の描写が冴えるクリスティー版「家政婦は見た」。
読了日:03月21日 著者:アガサ クリスティー

 

 

富豪刑事 (新潮文庫)

富豪刑事 (新潮文庫)

 

 湯水の如く金を使い事件を解決する富豪刑事こと神戸大助の活躍を描く連作短編。特徴的なのは、犯人を挙げる為、警察側が巨額の「私費」を投じてトリックを仕掛けることだ。また、全4編夫々も、強盗、密室、誘拐、暴力団抗争? とヴァラエティに富んでおり、警察が大助の私費を遣って用いるトリックも様々である。作者特有の軽妙な語口、メタ的発言や描写、そして時系列をバラバラにする実験的な手法等、筒井テイストに溢れている。作者は推理小説は慣れていないと云ってたそうだが、中々の筒井式本格ミステリ・コメディである。
読了日:03月19日 著者:筒井 康隆

 

 

黒い手帖 (中公文庫)

黒い手帖 (中公文庫)

 

  推理小説への読者且つ実作者としての重い。当時の社会を騒がず事件の数々への鋭い推理と意見、そして創作の裏話等を綴った随筆集。作者の生の声に満ちていて、迫力ある一冊。清張のような創作意識とそれによる優れた諸作がなければ、後世の人々が引いた「本格タンテイ小説は人間が書けていない」云々の言説は全く空疎な言葉に等しいことが明らかである。他、日常、社会、マスコミから実作を練り上げてゆく過程が独自の視点に富んでいて興味深い。
読了日:03月17日 著者:松本 清張

 

 

  2018年4月放送分のNHK「100分de名著」松本清張スペシャル講師による『神々の乱心』に関する解説。象徴となる土地の名を冠した章題と講義調の文で読み易いが、史実と小説での出来事、登場人物が混在してしまうので、『神々の乱心」を読了後に読む方が一層楽しめる。政財界、差別、そして遂には皇室にと数々の禁忌に踏み込んできた清張のミステリとはジャンル分け出来ない巨篇。今もって問題となってきている天皇、そして皇室への興味や問題提起の契機としても単にエンタテインメントであるに止まらない含蓄や豊かさが盛り込まれている。
読了日:03月16日 著者:原 武史

 

 

炎と怒り――トランプ政権の内幕

炎と怒り――トランプ政権の内幕

 

  社会の核でありながら、極北でもある政治には、濃密な人間臭さがある。それが政治ノンフィクションを読む醍醐味だ。本書もともするとある種のゴシップと受け取られかねないが、遙かにディテイルに富んでいる。後半では当の大統領自身が目立って描かれず、周辺の狂騒染みたエピソードが多くなり、それがトランプ政権というものを暗示しているかに思われる。政治素人達と仕事をまともに行おうとするプロフェッショナル職員の奮闘は奇妙に滑稽だ。読後、政治的理念や意志の乏しい者に政権運営は任せられないという当然の認識を愚かにも抱く。
読了日:03月10日 著者:マイケル ウォルフ,Michael Wolff

 

 

松本清張 「隠蔽と暴露」の作家 (集英社新書)

松本清張 「隠蔽と暴露」の作家 (集英社新書)

 

 「隠蔽と暴露」をキィ・ワードに、清張の作品がテーマ毎に紹介されている。徹底した疑義こそが、清張の諸作の特徴であるとし、同時に今現在に松本清張を読む意義が検討されている。「現代」の解説書としての傾向が強くなった新書と云う形態に適当な清張論である。

読了日:03月07日 著者:高橋 敏夫

読書メーター

 

 定期的にテーマを決めて読書計画を立てる。年始は筒井康隆であったし、『富豪刑事』で一段落させ、最近では松本清張の現代推理長編を始めから順に読んでいこうと思った。しかし、読書計画なるものは、須らく夏休み直前の計画と同じで、計画通りに等進捗しない運命だ。それにどんな本を読もうかと計画を立てている最中が、実は既に結構愉しかったりする。勿論、面白い本を読んでいる最中も同じくらい愉しい訳であるが。

 読む本、そして感想を書くに値する本はどっさりと仕入れてあるのだが、中々の浮気性な所為か手を着けていないことが問題だ。別段、紹介目的で読書をしている訳ではないのだが、しかしアウトプットすることで血肉になればそれに越したことはない。理解が深まること、また、新たな読み方が出来ることへの発見が、読書を一層面白くするのだから。

 皆さんも、年度始めでご多忙かと思いますが、お互い面白い本を沢山の読み、愉快なライフを送って頂きたい。

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